新入社員気遣ったら一撃でオーバーキルされた
GWはいかがおすごしでしたか。
わたしはといいますと、家で坐禅三昧。
(日本でも坐禅が流行りだしているとか)
坐禅って面白いんですよ。
目を瞑ってリラックスしながら集中していると、
急に頭の中心からドバーと360度にパノラマ展開する美しい景色が
瞼の裏に映ってきます。
(このときの頭の中の感覚は、様々な立場にたって、複眼的な視点で
ものを考えている時の感覚と似ています。)
20代前半は、もう、旅しないと生きていけないと思ってましたけど、
この座禅体験の存在を知った20代後半からは、「別に座禅でも旅行以上の
体験できるからいいや」と。旅行中毒が治りました。
今も旅行は好きですけどね。
どうも阿部です。
さて、先日、こんなご質問をもらいました。
<中国人とのコミュニケーションについて>
仕事の中で中国人の同僚、部下と意見が対立する事がよくあります。
面子的なものもあると思いますが、一度そっぽを向くと
会議などがその場で硬直してしまいます。
同じような状況でも中国人同士の場合は何か違うような気がしています。
阿部さんの経験の中でこのような場面での雰囲気の変え方や、
フォローの仕方などありますでしょうか。
「溝通」という言葉が中国語にある。
日本人同士でも、同じ日本語を話しているのに
お互い「外国語」をしゃべっているというケースが
多々ある。
人の精神性を主に構築している要素は言語である。
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話相手が日本人でも相手は異国の人だと考えると
わかりやすい。
コミュニケーション(溝通)とは、
相手の言語世界を知り、また、自分の言語世界も
知ってもらい、お互いの言語世界の国境という溝に
橋を通す行為である。
モデルで考えるとわかりやすい。
○ ○
個人 対 個人
一国 一国
以上の状況を溝通によって、
両者(両国)の国境に橋をかけ、大きな円の中に
二つの小さな円を包み込む関係に持ち込むことだ。
コミュニケーション論として、
ラポールという考え方がある。
たとえば、簡単な例を挙げると、
「今日天気がいいですね」
「そうですね。」
こういった共通言語を共有することで、
つまり、ラポールを築くことで、
コミュニケーションは円滑になる。
ラポールが更に強固になった状態、
つまり、ハイパーラポール(高度な共感状態)のケース
としては、ストックホルム症候群を例にあげると
わかりやすい。
ゴルゴ13でも出てくるが、
犯罪被害者(人質)が、犯人と一時的に時間や場所を
*排他的に共有する*ことによって、犯人に対して、
過度の同情さらには好意等の特別な依存感情を
抱くことをいう。
この*排他的共有空間*は、言語世界という情報空間でも、
物理空間でも、どちら有効だ。
※但し、情報空間の共有は物理空間の共有よりも
強力である。15世紀から17世紀にかけての
大航海時代(別名、大侵略時代)、西欧諸国は
例外なく、現地人に自国の言語を教え込む政策を
必ず行っている。
武力で肉体を支配できても、精神を支配できなければ、
植民地政策は達成できないと考えたからだ。
情報空間、物理空間で『意図』を高度に共有する
ハイパーラポールを築くと、お互いの関係を
円滑にするホメオスタシス(意図に沿った状態を
保とうとする凝集力)が自動的に働きだす。
※関連記事「意志の凝集力」:
人は自分の世界しか見えていない『小人』の話は聞かず、
自己と他者を共に包み込む高い視点を持つ『大人』の話は聴く、
このような傾向がある。
※『大人』のメンタリティがよく表現されている記事があった。
参考記事:「新入社員気遣ったら一撃でオーバーキルされた」
http://blog.livedoor.jp/vipperr/archives/26956588.html
「こんな上司の元で仕事したい」と、あの2ch住人達に言わしめるスレッド主の
メンタリティとコミュニケーション力は注目に値する。
Ps.外国語の学習で、「会話を習得したい!」という
声はたくさん聞くが、「リスニングを習得したい!」
という声は前者に比べて少ない。
リスニングができず、相手の話が聞けなくて、
その結果、相手の言語世界を理解することが
できなければ、いくら気の利いた表現を使おうと、
また、いくら流暢に話そうとも、外国人と
ラポールを築くことは難しい。
ラポールを築き『意図』を共有できなければ、
お互い「外国語」をしゃべり続けるだけで、平行線をたどるだけだ。
つまり、お互い『別々の意図』を持っていると、一つの単語の意味も、
お互いに全く別の意味を持ちうる。
逆に、リスニングができて、相手の話を聞けて、
その結果、相手の言語世界を理解することができれば、
それほど気の利いた表現を使えなくても、また、流暢に
しゃべることができなくとも、簡潔な表現で外国人と
ラポールを築くことは可能である。
ラポールを築き、『意図』を共有できると、一つ一つの単語の意味は、
その『意図』の視点から解釈され、結果として、相互理解が進む。
まとめ
コミュニケーションには以下の四つのケースがある。
1、AとBは別々の意図を持っていて、お互い「外国語」をしゃべり続けるケース。
→×溝通 ※恋愛だと「キモい」レベル。
2、AとBは別々の意図を持ってはいるが、AがBの話をよく聞き、Bの意図を理解
し、Bの意図、Bの視点に立って、会話を進めるケース。
→○溝通(ラポール)※「いい人」レベル。
3、AとBは別々の意図を持ってはいるが、BがAの話をよく聞き、Aの意図を理解
し、Aの意図、Aの視点に立って、会話を進めるケース。
→○溝通(ラポール)※「いい人」レベル。
4、AとBが両者の意図を包み込む「より大きな意図」を共有し、
その大きな意図、高い視点に立って会話を進めるケース。
→◎超溝通(ハイパーラポール)※「好き!」レベル。
(以下のスレッド主が1と2と3に加えて4のレベルにもいる点に着目したい。
参考記事:「新入社員気遣ったら一撃でオーバーキルされた」
http://blog.livedoor.jp/vipperr/archives/26956588.html)
以上の意味で、外国語の実用性、溝通という観点から考えると、
リスニング力の方が流暢なスピーキング力もよりも
はるかに重要度が高い。
高度なリスニング力により戦場と戦局を
よく観察し見極めてから、簡潔なスピーキングで、
戦に打って出るほうが勝利の可能性が高まることは
自明の理だといえる。
阿部拝