【悲報】「赤ん坊にスピードラーニング聴かせ続けたら…」
先日、某掲示板にこんなスレッドが立った。
「一昨年産まれた息子にスピードラーニング聴かせ続けたら
意思疎通取れない。助けて…」
当人曰く、このような行為に及んでしまった理由を
以下のように述べている。
『赤ちゃんは言葉を自然と覚えていきますよね。
スピードラーニングはそれと同じでただ聴き流すだけなんです』
っていうから、赤ちゃんに聴かせたら
ネイティブな英語力が身につくと思ったんです。
以下のようなコメントが続々と寄せられている。
「やめとけ、英語でも日本語でもない謎の言語(鳴き声)で
しか語りかけて来なくなる。」
「Babuuuuummmbabubabuhhhhhh!!!!! イクラちゃんか何か? 」
「遼ちゃんって英語解らないから観客のヤジ気にならなくプレイ出来るらしい。」
当事者本人:「俺もスピードラーニング聴いてるけどさっぱり効果がない。」
どうも、阿部です。
前回、ラポールに関連した話を紹介しました。
「お互い『別々の意図』を持っていると、一つの単語の意味も、
お互いに全く別の意味を持ちうる。」
たとえば、ジャイアンの名言に、
「俺の物は俺の物、お前の物も俺の物」
字面だけを見ると、「いじめっ子の言葉」と誤解しやすいです。
ですが、ジャイアンがこの言葉を言う状況(意図)は、
のび太が小学校の入学の時、無くしたモノをジャイアンが、
一緒に探してくれた時です。
「お前がなくしても、俺のモノだと思って探す。」
これがジャンアンの隠れた「意図」ですね。
話し手(書き手)と聞き手(読み手)の意図が違うと、
単語の意味が全く違ってくるいい例だと思います。
ラポール関連記事:「新入社員気遣ったら一撃でオーバーキルされた」
たとえば、単語帳の限界もラポールに関連があります。
「話し手(書き手)の状況、意図が与えられていない単語帳という条件下で、
単語の意味を覚えても、その単語が別の状況、意図で
使われたときの意味に柔軟に対応にしくい。」
英語通訳のクライアントから、こんな感想をもらったことがあります。
「同音異義語が多い中国語は、英語よりもリスニングが難しく感じる。」
同音異義語が多い中国語は、英語以上に話し手(書き手)の意図、状況優先。
だから、以下のような問題が起こってくる。
「状況、意図を捉えることができないと、イメージできないと、
単なる音の流れにしか聞こえず、まったくわからなくなります。」
単語帳を使っても、それほど実用的な表現力、
リスニング力が身につくわけではない、ということです。
関連記事:「単語記憶術」
関連記事:「あなたは単語帳を使いますか?」
赤ん坊がスピードラーニングを聴かされるのは、
たとえるなら、ラポールなしで、話し手の意図もわからないまま、
二つの異国の言語で書かれた単語帳をポンと与えられ、
そのまま放置しておかれるようなものですね。
当然、
英語どころか日本語も覚えずにアウアウアーの状態になるでしょう。
<編集後記>
リスニングが不得意な人の頭の使い方として、以下のような使い方がある。
たとえば、ABCDEFGHIJKというA~Kの単語からなる文があるとして、
外国語のリスニングができない人は、単語帳で覚えた日本語の意味を
それぞれの単語にそのまま当てはめている。
母国語のリスニングができない人、つまり、「人の話を聴けない人」の特徴として、
彼らは、話し手(書き手)のA~Kの単語の意味を、自分の視点(意図)から解釈する。
相手が意図している意味とは別の意味で捉える。
その結果、相手とコミュニケーション、相互理解が進まないという結末に陥る。
追伸:
あなたが日常に使っている言葉は、
本当にあなたの言葉ですか?
言葉とは言の葉。
木は蒼天に向かって伸び伸びと生命の葉を広げていく。
「自分を見失う」とは、「自分の言葉を失う」こと。
「自分の言葉を失う」ことは、「自分の意図を見失う」こと。
そして、「自分の意図を見失う」ことは、
「伸び伸びとした生命の跳躍力を失う」ことだ。
意図を見失う、つまり、指揮をとる将軍の不在。
肝者,将軍之官,謀慮出焉。(黄帝内経)
中医診断学の問診の範疇に入れて考えてみるのも
面白いのではないでしょうか。
阿部拝