中国語本質講座第二回:「20:80の法則を実際の会話に応用するとこうなります」
~会話はシンプルな表現でいい~


さて、今日の話題は、あなたも突き当たったことが

あるかもしれないんですが、


「試験には受かったが、会話力がない。」


この問題について考えていきましょう。


<質問>

中国人と会話をするにしても、時々「会話力がないなあ」と思います。

たとえば「彼はたくさん食べてる限り、体はぴんぴん
してるから大丈夫だよ」みたいに言おうとしても、
語彙とか文法が分からないものだから、

「他吃得很多,身体很好,没関係」みたいに、
知ってる単語の羅列みたいになってしまうのです。

上の例では仮定的な意味を言いたいのに、
何か事実を述べているようになってしまい、
微妙にニュアンスが異なってしまいます。

「中作文を解きまくるしかないのか?」と思い
白帝社の「中級作文」を買いましたが、解いていて
面白くないうえに、あまり上達した気がしません。

もうひとつの理由として、小学館の辞書を使っているのですが、
見出しが少なく、あまり口語的な用法が引けないところが
問題だと思っています。

文章読解力はあると思うのですが、まったく会話力がありません。

何かいい方法はありませんでしょうか?



あなたは、上の問題、どう解決しますか?


以下は、私が考える解決法です。


まず、日常会話では、接続詞は(試験で出るような就算とか)、

中国の方はあまりつかいません。


句と句の間に接続詞を置くことが少なく、

接続詞の意味が前後の文の関係から決まってくるのが

日常中国語会話です。



日本語を学んで間もない中国の方の日本語を聞くと、

接続詞(だから、から、でも、等等)を使うのが少なかったりするの

は、彼らの中国語をしゃべるときの発想から来ています。



「彼はたくさん食べてる限り、体はぴんぴんしてるから大丈夫だよ」



このくらいの意味でしたら、中国人でしたら、以下のように

いうでしょう。



「他能吃,没事!」



あなた:「え?そんな簡単でいいの?」




現場の観点から説明してみます。




私は臨床中医を現在学んでいるんですが、

先生がよく患者にいうんですよ。



「能吃,就没事了!」



「能吃」に「たくさん食べてる」の含みがあります。


「没事!」に「大丈夫だよ」の他に、「体はぴんぴんしている」

の意味も含まれてきます。



会話はキャッチボールの回数が増えるごとに、

一つ一つの基礎単語に含まれる意味が増えていきます。



そして、基礎単語の強みは、その含みの曖昧さのために、

色々な豊富な含みを受け入れることのできる柔軟性にあります。



いってみれば、基礎単語は難しい単語に比べて、

守備範囲が圧倒的に広いんですね。



日常会話で意味と単語が一対一で対応する難しい単語を

使うなんてことは、「窮屈」でしかたがありません。


この「窮屈さ」が、相手に不自然さを感じさせます。



さっきの例をとると、


そもそも、いきなり、「彼はたくさん食べてる限り、体はぴんぴん

してるから大丈夫だよ」という会話からはじまるのではなく、



「彼、最近からだの具合がどうのこうの。」



といった話題から始まっているはずです。



それについて相手とキャッチボールを繰り返した後で、

「彼はたくさん食べてる限り、体はぴんぴん

してるから大丈夫だよ」という会話が出てくる、という流れです。



「体」がテーマなのはあきらかです。



すでに明らかなことを重複して事細かに述べると、

不自然に聞こえます。


日本語でもそうです。


「他能吃」という句と、「没事!」という句の前後関係から、

「限り」という接続詞の意味は、自然と含まれます。


日本語→中国語(逐語訳)


この頭の使い方をしていると、

流暢な中国語は出てきません。


日常会話では、イメージ→中国語で十分に

相手とのキャッチボールができますね。




数に限りのある800語程度の基礎単語をまずは

自在に使いこなせるようになること。





先日の「20-80%の法則」。



「使用頻度の高いある重要な一部分を整備し、高速化

できると、効率が格段によくなることがある。」




映画レッドクリフ(赤壁)でも出てくる孔明ですが、

その著書「将苑」で以下のようにも言っていますね。


「夫軍無習練、百不当一,習而用之、一可当百。」


訳:そもそも軍に習練が無ければ、百でも一に当たらない。

習って之を用いれば、一でも百に当たることが可能だ。


注:「習」とは、反復するという意味です。



余談ですが、

中国文化の真髄とその莫大な価値は、紀元前後付近の古典にあります。


そして、古典は10~20%の部分の知識に位置している、

とだけ伝えておきましょう。




情報の洪水に呑まれずに航海していくための羅針盤。



「基礎単語の豊かな含みをイメージとして理解し、

それを短文で運用できること。」


これが、外国語の会話で突きあたる第一の壁です。



次回は、「会話習得でぶち当たる二つの壁とその越え方とは?」その方法について

あなたにお話しようと思います。

→中国語本質講座第三回へ進む


阿部拝

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