中国語本質講座第五回:中国語リスニング:動詞に着目する
英語でも中国語でも動詞は文型によって意味が変わってきますから、
動詞をよりよく理解する学習をしていかなければ、両言語とも
まず正確に読むことさえできません。
(正確に読めないものを聴けるはずはないですね)
たとえば、
1、i got to the station.
2、i got him a cup of tea.
1は1文型ですから、Gotの意味は「着いた」で、
2は4文型で、「くれた」、「買ってくれた」
と動詞の意味は文型で決まってきます、
Gotそれ自体で決まるのではなく。
中国語も同様に、
1、我要橘子。
2、他要我給他打電話。
1は動詞述語文で、要の意味は「いる」で
2は兼語文(使役文、英語でいう第5文型)ですから、
要の意味は、「させる」となります。
語学を学んだことのない人は、こういった事実を知らずに、
ただ闇雲に単語の意味を覚えたりする勉強をしますから、
それだと客観的に単語の意味を導き出せません。
その結果、
いつも感覚にたよったギャンブルのような読解やリスニングをすることになるので、
いつまでたっても伸び悩む、という壁に学習者の95%以上が直面することに
なります。
更に困ったことには、本人はそのようなギャンブル的な
語学学習をやっているという自覚すらない。
だから、語学ができるのはすごいことだ、みたいな
幻想がまかり通ってしまうわけです。
ギャンブルでお金を稼ぐことができるわけがないのと
同様に、ギャンブル的語学学習でできるようになるはずはないですね。
(ギャンブルは負けるのは知ってますから、私は一切、やりません)
では以下で、動詞に着目することで、リスニング力がUPする原理を
説明していきます。
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よく「町で中国人がしゃべる速度早すぎです」などと
いった感想ももらっています。
あの怒涛の音の流れをどのように理解すればいいのか、
ということです。
『ある方法』に加えて、
以下の方法も使うとより効果が上がります。
英語と同様に中国語も「一文(SV~)」(一文=意味の塊)の目印は
動詞ですね(中国語の場合形容詞述語文という例外もありますが)。
一文の中心が動詞です。
ですので、動詞に着目して聴いてみてください
文の中心となっている動詞に着目して聴くと、
その動詞の前後に連結している音節が*芋ずる式*に理解され易い
(引き寄せやすい)、言いかえれば、
一文という意味の塊ごとに理解し易くなります。
ABCDEF, GHIJK...
Cが動詞で、Iが動詞とすると、
そこに着目して聴くことで、
<AB> ←C→<DEF> ,<GH>←I→<JK>
以上のように塊で理解されると、情報処理の負担が減り、
その結果、以下の[ ]レベルのより大きな意味の塊が、
更に認識できることにつながるのだと思います。
[ <AB> ←C→<DEF> ] , [ <GH>←I→<JK> ]
(同時並列処理)
※<>の階層の意味の塊に加えて、
更に[ ]の階層でも意味の塊として認識されている。
文の中心である動詞に着目するという意識を入れないと、
A→B→C→D→E→F, G→H→I→J→K
(直列処理)
それに対して、動詞に着目するという意識を入れると、
A→B→C
このCの時点で逆方向へ再処理がはじまります。
どのような再処理かというと、
1、A→B→C
2、A→B→C→D→E→F
← ←
3、<AB> ←C→<DEF>
上記のような同時並列処理と以下のような直列処理を比べると、
A→B→C→D→E→F
理解速度(情報処理の量)に違いが出てくることは明らかです。
ですから、リテンション時間(記憶に留めておける時間)
も塊で理解できる前者の並列処理が勝り、また、塊で理解できるから、
長い文をかなり遅れて、復唱できることにもつながります。
リテンション時間の増加、それはリスニング力UPという事実に
ほかなりませんね。
実際に試してみると、すぐに効果を実感できると思いますので、
今日から意識的にリスニング練習に組み込んでみて下さい。
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以上、リスニングの秘密ののひとつですが、もちろん、
この意識の持ち方だけで聴けるようになるわけではないです。
以上の頭の使い方と『ある秘密』と並行して使っていくことで、
あなたのリスニング力は驚くほど伸びていくようになります。
リスニングの本質二点に立脚した学習が必要なんです。
もし、あなたがこの方法を知ると、
「ああ、そういうことだったのか。私はなんて非効率的な覚え方をしてたんだろう。」
と目から鱗が落ちることになるでしょう。
次回は、ある発想転換をすることで、単語が非常に覚えやすくなる方法を、
あなたにお話します。
もしあなたが、「中国語の単語の意味を日本語で言えたら覚えてる」このような基準で中国語の単語を学習しているのでしたら、
目からウロコが落ちる思いをすることでしょう。
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阿部拝